1905年創業の歴史を受け継ぎながら、
今もなお進化を続ける丸茶。
現会長・佐々木浩二と、社長・佐々木健人が、
これまで築き上げてきた歩みと、
これからの挑戦について語り合いました。
丸茶のはじまり
社長まずは、丸茶が創業した経緯についてお話ししましょうか。 会長100年以上前の話になりますが、創業者である佐々木時造氏は、京都・宇治に本店を構える「丸茶阪部商店」というお茶問屋の札幌支店で勤務していたそうです。そこで、セールスマンとしての業績が非常に良かったことから、のれん分けをしてやろうという話になり、1905年に「丸茶佐々木商店」として樺太で独立開業。これが丸茶の始まりであり、以来、その看板を一貫して守り続けていますよね。 社長いまだに「お茶屋さんですか?」と言われることもありますもんね。当時の樺太は、まさに未開の地と言える場所で、創業当初の丸茶はボイラ・タービンといった現在の主力事業はまだ手がけておらず、いわば“なんでも屋”のような存在だったと聞いています。 会長当時、樺太に渡った833人目だったそうです。人も物資もほとんどない環境でのスタートでしたから、まさに開拓者だったと言えるでしょうね。 社長そのような中で、時の権力者たち非常に可愛がられ、さまざまな仕事を任されるようになったと伺っています。もちろん、商才もあったのでしょうが、佐々木時造氏の人柄こそが、今の丸茶にも受け継がれている大切な精神だと感じています。 会長そうですね。いかに相手から信頼を得て、その期待に誠実に応えるかが重要だと考えています。丸茶の「茶」の字は、暖簾に掲げると、表から見ても裏から見ても同じに見える。そうした“裏表のない誠実さ”こそが、信頼の礎になっていると思います。 社長“なんでも屋”から始まり、やがて樺太庁の指定業者となって、鉄道機関車関連の事業に参入し、軌道に乗ったと聞いています。その後は、製紙・パルプ業界や、農牧畜産業、さらにはバス会社などの民間事業にも展開し、30社ほどを抱えるグループにまで成長しました。未開の地でそこまで事業を広げるには、並々ならぬ覚悟と誠実な姿勢があったからこそだと感じます。
会長まず大切なのは、人々が本当に求めているものを敏感に感じ取り、それに真心を持って応えることです。お金儲けをしようとするのではなく、世の中のニーズに寄り添い、誠実に貢献する姿勢こそが、商いの原点ではないでしょうか。
社長現在の丸茶は、ボイラ・タービン、そして空調設備を取り扱う専門商社として事業を展開しています。1905年の創業後に順調に軌道に乗りましたが、1945年の終戦時には敗戦の影響ですべてを失いました。それでも再起し、2025年には120周年を迎えることができました。これも、“裏表のない誠実さ”を貫いてきたからこそだと思います。
会長戦後の再出発は、多くの企業にとって困難なものでしたが、以前からお付き合いのあった企業様との強いつながりが、大きな支えとなりました。創業前に勤めていた会社の「丸茶」という看板を現在も掲げ続けていることからも分かる通り、恩義を大切にし、人との関係を誠実に築いてきた証だと思います。
社長この精神は、会長をはじめ、今の社員たちにも受け継がれている気がします。
会長常に自分の言動を、誠実さと照らし合わせながら行動すること。それが謙虚さの第一歩です。そして「相手の立場に立って考える」という姿勢が、どの時代にも必要な価値観だと私は信じています。
社長そう考えると、今は令和という新しい時代に入り、働き方や価値観も大きく変化しています。昭和世代は、平成世代から“古い”と見られがちでしたが、きっと昭和世代も明治世代に対して同じように感じていたのではないでしょうか。だからこそ、令和世代の考え方にも目を向けて、柔軟に変化していく必要があると感じますね。
会長時代に合わせて、変えるべきところは変え、守るべきものは守る。そのバランス感覚が重要ですよね。変化に対応しながらも、これまで大切にしてきた“丸茶らしさ”は、これからも継承していかねばなりません。
丸茶らしさとは
社長そうですね。では丸茶らしさとは何なのかと考えたときに、先ほどの“裏表のない誠実さ”はもちろんですが、当社の業態である、ボイラ・タービン、空調設備といった特殊な専門商材を扱う「専門商社」であるという点も、丸茶の独自性を際立たせていると思います。そしてそれを支えているのが「特殊技能者の存在」であり、ここが最も“丸茶らしい”部分かもしれません。 会長結局のところ、すべては“人”だと思います。うちには、一般的な企業では採用されないような“尖った人材”が多いです。ただし、尖っているだけではダメで、和を大切にできるかが重要です。かつて私が採用の最終判断をした部長クラスのメンバーも、個性と協調性のバランスを見ていました。一人で何かをする、ということはありえないですから。 社長尖った人材ですか。確かに、トゲがないと人の心に刺さらないですからね。そういった意味では、学歴で判断しないという姿勢も、魅力のひとつかもしれません。もちろん、学歴は一定の能力の証明にはなりますが、それにこだわるつもりはありません。商社である以上、「モノよりも人」という価値観は、代々受け継がれてきています。 会長採用も時代とともに複雑になっていますが、それでも大切なのは、先を見通す視点です。5年後、10年後の日本が安泰とは言えない中で、今この瞬間に何をすべきかを考えられる人材が求められていると思います。
今後のビジョンについて
社長120周年を迎えた今、次の125周年に向けて、私たちも未来を見据えて行動していかなければなりませんね。 会長そのためには、何より“正しい問題提起”ができるかどうかが鍵になります。よくPDCAが重要だと言われますが、私はOODAの方が本質的だと考えています。すなわち、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)という4ステップを通して、現状を客観的に把握し、先を読み、方向性を定めて動くことが大切です。これができなければ、PDCAも機能しませんから。 社長その中でも特に重要で難しいのが、“決断すること”だと思いますね。どれだけ正しい問題提起ができても、決断しなければ何も進まない。そしてその決断も、常に誠実さを軸に据え、利己的ではなく利他的な姿勢であることが、丸茶の精神に通じると感じています。 会長そして、もうひとつの柱が、2050年のカーボンニュートラルに向けた取り組みです。エネルギー資源に乏しい日本にとって、これにどう対応するかは大きな課題ですね。時代のニーズに応えるプロジェクトを進めていく必要があると考えています。 社長社内的なところで言うと、よく「0から1を作る人が必要だ」と言われますが、私は“0から0.1を生み出せる人材”こそが重要だと考えています。小さな変化を起こせる人が、やがて大きな変化を導く。そのためには、社員が夢を語れる場をつくることが欠かせません。夢を描き、実現できる会社であることが、未来へとつながっていくはずです。 会長いつの時代でも重要なことですが、未来を見据え、理想を思い描きながら行動していくこと。それが、これからの丸茶に求められる姿勢だと思います。 社長“会社は人だ”というのはよく聞く言葉ですが、会長とお話しする中で、それが言葉だけでなく丸茶独自の文化として根づいていることを改めて感じることができました。本日はありがとうございました。